19世紀フランスの詩人マラルメ(1842-1898)の詩集「賽の一擲、偶然を廃せざらん (Un coup de des jamais n’abolira)」の見開きページのひとつです。この詩集の出版直前に急逝したため、死後100年以上を経てから初めて、詩人の意図を忠実に再現した版本が出版されました。9種類の異なる活字を使用し、文字の配置があるイメージを表すという驚くべき詩集です。見開きの写真は詩人の意図通りに組んだもの、片側一頁の写真は詩人が指示を書き込んだ校正紙のファクシミリです。タイポグラフィーの側面からも注目に値する、このような詩集を100年以上も前に考え出したマラルメは、時代の先端を突き抜けてしまった孤高の天才でした。(Y)