宮城県大崎市、鳴子温泉郷の上流に位置する鳴子ダムでは、例年GWに３日間だけ「すだれ放流」が行われます。94.5mのアーチ型ダムの天端から、静かに水紋を描きながら放流される様子はまさに「すだれ」が広がる如くです。また、この期間は地元の子どもたちが作った鯉のぼり（１匹鯨のぼりもありました）が飾られ、鯉の滝登りのようにも見えます。

　鳴子ダムは、外国人技術者を招聘せず、設計及び施工を日本人のみで完成させた（1958年完成）初の純国産のアーチダムです。鳴子ダムでは施工地の岩盤に合わせ、アーチの推力を内部の岩盤に位置させ、あわせて遮水壁の役を持たせるため二股基礎工事を採用し、さらに、弱部（破砕層、粘土部）の掘削除去やコンクリートへの置換、岩盤自体へセメントを注入（グラウト注入）するなど、岩盤補強の特殊処理が行なわれるなど、柔軟な発想と様々な創意工夫がこらされているそうです。2016年には土木学会選奨土木遺産に認定されています。

　訪れたダムでは必ず「ダムカード」を貰うようにしているのですが、管理事務所とダムは少々離れていたので今回は断念。代わりに同じ構図で写真が撮れたので、これでよしとしました。