公開から僅か10日間で興行収益100億円を超えた異例の劇場版「鬼滅の刃」。
大正時代、主人公の家族が鬼に惨殺され、鬼化した妹を人間に戻す為に鬼殺隊として仲間と共に鬼と戦う物語。残酷な殺戮シーンの多いこのアニメが子供から大人までを魅了した要因は何処にあるのだろう。
　世界中がコロナ禍の今、見えない不気味な敵と戦っているこの時代に何か共感するものを感じたのだろうか。物語では鬼と化した者とそれを退治する鬼殺隊との両側に家族との深い絆が多く描かれている。鬼も鬼殺隊もそれぞれの多くの悲しみを胸に抱えている。耐え難い絶望に打ちひしがれながらも戦い続けるその姿には、現代社会の何か息苦しい環境の中で、もがきながらでも少しでも前に進まなければならない現実に何か似たものを感じるのかもしれない。